迷ヒ家ノ鬼 タイトル画像

注意:このコーナーは『迷ヒ家ノ鬼・本編』とはあんまり関係ありません。

第5回:消えた腐乱死体と放課後の王国
遠島:
「今回は3年も4年もかかんなかったし、わりと順調な開発だったと思うけど…」

香住:
「アプリで3年とか4年とかかかるほうが異常なんだって」

遠島:
「名前はこれでもかってほど、迷走したよな?」

香住:
「そうだっけね…遠島の名前も二転三転したけど、一番ひどかったのはユエだよな」

遠島:
「モダンだって言われて、ムッとして違う名前に変えたら、今度は洋風すぎるって言われて」

「またムッとして変えたら、なんかしっくりこなくて、ムッとして最初の名前に戻したんだよな」

香住:
「…いちいちムッとするの、やめようよ…」

遠島:
「何を言う。最後のムッはおのれに対してだぞ?」

「他人にも自分にも平等にムッとしてる。公平だ!」

香住:
「自分にもムッとしなきゃいいだろ」

「…きわめつけは、タイトルが変わったんだよな。結構な終盤で」

遠島:
「でもあれは、全員が気づいてただろ、『こりゃ変わるな』って」

香住:
「まあな」

「ちなみに迷ヒ家はかなり終盤まで“放課後キングダム”って呼ばれてました」

遠島:
「ほうかご…きんぐだむ…」

「…どのへんが??」

香住:
「全員が『どのへんが?』って思ってたから変わったんだろ」

「でも、最初はほんとに放課後の話だったんだよ」

「担当者もキレイに忘れ去ってたけど」

「発掘した案出し段階の企画によると、旧校舎でオレが腐乱死体を発見するところから事件が始まってたんだって」

遠島:
「ふらんしたい…」

「良かったな、香住」

香住:
「ん?」

遠島:
「そんなもの見ちゃったら、香住は最初から倒れちゃうもんな?」

「腐乱死体に出くわすより、首つり娘に出くわす方がいいよな?」

香住:
「イヤ、どっちも嫌だけど」

「…でも、オレ、腐乱死体だったら、たぶん遭遇しても倒れねーと思うけど」

遠島:
「なんでだ。迷ヒ家じゃ、香住はバタバタ倒れてただろ?」

香住:
「バタバタは倒れてねえ。ひっくり返ったのは1回だけだ」

「…つーか、オレが苦手なのは赤い血なんだって」

「腐った死体も血塗れならアウトだけど、血がなきゃ…たぶんわりと平気だぜ?」

遠島:
「そうなのか?」

「てっきり香住は、どうしようもない怖がりだとばかり…」

香住:
「どうしようもないって言うな」

「…ま、それはそれとして」

「内容自体は、かなり初期の段階で<放課後>でも<キングダム>でも無くなってたんだけど」

「この仮タイトルがうっかり呼称として定着しちゃったんだよな」

「なぜなら、放課後でもキングダムでもなくなったことを知ってたのが、シナリオ担当だけだったからです」

「朝会で素材を作ってくれてる他のスタッフが『放課後の~』って言ってる姿を見ながら『いつ切りだそう…』ってもんもんとしてたらしい」

遠島:
「さっさと言えばいいのに」

香住:
「まあ、そうなんだけど」

「でも、呼び方って定着しちゃうと、変えるの、ちょっと恥ずかしくない?」

遠島:
「そうか?」

香住:
「そうだって。考えてみろよ」

「遠島だって、突然オレを“ヨウスケ”って呼ぶことになったら、ちょっと恥ずかしいだろ」

遠島:

「!……」

香住:
「何」

遠島:
「…香住って、そんな名前だっけ?」

香住:
「うん、オマエはそういうヤツだ」