オズの国の歩き方コラム タイトル画像

注意:このコーナーは『オズの国の歩き方・本編』とはあんまり関係ありません。

第2回:変わらぬ誓いを胸に
ジャック:
「それでは、僭越ではございますが、私が今回の進行を務めさせていただきます。ご存じの通り、このゲームはフランク・ボーム作の<オズの魔法使い>がベースになっているわけでございますが――」

ドロシー:
「…ちょっと待って、ジャック」

クロウ:
「どしたノ、ドロシー、怖い顔しテ」

レオン:
「お、怒っているのか!? また、何か怒っているのか!?」

ドロシー:
「…違うわ。のんきに思い出話をする前に、ひとこと言っておきたいことがあるの。…っていうか、また、って何よ。ひとを怒りんぼみたいに言わないでちょうだい」

ジャック:
「言っておきたいこと、でございますか?」

ドロシー:
「そうよ。私がこの旅を通して学んだ大切なことを、皆にも覚えておいてもらいたいの」

クロウ:
「大切なコト?」

レオン:
「なんだ?」

トト:
「わん?」

ドロシー:
「いい、よく聞いて」
,
「世界は――巡るもんじゃない」

クロウ:
「…………」

レオン:
「…………」

ジャック:
「…………」

トト:
「…………」

ジャック:
「…お嬢様におかれましては、ボリュームがいささか大きくなりすぎたことを後悔しておいででしょうか?」

ドロシー:
「大後悔だわ! 特に魔の2章っ…なんであんなに長いのよ!? 終わらないの、2章が終わらないのよっ!」

レオン:
「む…確かにあそこは少々長かった気がするな…」

ドロシー:
「少々じゃないわ! 2章は通りかかる度に開発陣を絶望させるのよ! …だけど、あそこは流れ的に削れないの! ていうか、ああみえて、どこもそれなりに伏線があるから削れないのよーー!!」

ジャック:
「おいたわしいことでございます、お嬢様」

ドロシー:
「私が思うにね、魔の2章が生まれてしまった原因、そして、全体のボリュームが大きくなってしまったそもそもの原因は、魔女たちが東西南北の果てにいやがったことだと思うの!」

トト:
「わん(言葉遣い)」

ドロシー:
「魔女のことさえなければ、私は3章でオズを引きずり出して願いを叶えさせることもできたはずなのよ! それが、東西南北の果てに魔女が陣取ってるおかげで、私は世界の果てから果てまで行かなきゃならなかったわけ! そして行くからには何かひと事件起きてもらわないといけなかったわけ!!」

ジャック:
「何の障害もなく目的地に到達してしまうのでは、ストーリーとして盛り上がりにかける、という意見には同意するものでございます」

クロウ:
「僕、いっぱい歩けて楽しかったヨ! 歩くの好きだヨー」

ドロシー:
「…私だって旅自体は、なんだかんだで楽しかったわよ。だけど、このボリュームオーバー問題によって、当初予定されてたルート分岐はできなくなっちゃったし」

ジャック:
「はい。古い資料によれば、当初は<歪みの国のアリス>のような分岐、エンディングがございました」

ドロシー:
「そう、でも、途中から、分岐なんかしてる場合かー! ってことになって。…ほら、クロウ、昔はあなたと出会うところで、ヘンパルが出てたでしょ?」

クロウ:
「アー」

レオン:
「ヘンパルとはなんだ?」

クロウ:
「カラスだヨー。空から落っこちてきたんだよネ」

ドロシー:
「そう、私の上にカラスの雨が…ていうか、あれはあなたが落としたんでしょ」

クロウ:
「そっカー、いつの間にかヘンパルいなくなっちゃったと思ってたラ、消えちゃったんだネー」

ドロシー:
「そうなの。かわいそうでしょ?」

クロウ:
「かわいそうだネー」

ドロシー:
「だからね、いい!? もう、世界は巡っちゃだめ! 救世主なんかもってのほかよ! 今後目指すのは<一夜怪談>のようにごくごくコンパクトにまとまることよ!」

クロウ:
「ハーイ」

レオン:
「案ずるな! 余は世界を救うより、むしろ征服したいと思っておる!!」

ジャック:
「かしこまりました。お言いつけ通りにいたします」

ドロシー:
「ありがとう! 皆、わかってくれて嬉しいわ…! よーし、もう、絶対、長編はやらないし、絶対、世界は救わないわよーー!」

トト:
「わうん…(長編はもうやらないって、毎回、聞いてるけどなあ…)」

ドロシー:
「何言ったか、感じ取ったわよ、トト! 見てなさい、今回は絶対だからね!」

トト:
「わうーん…(期待してます…)」

ドロシー:
「絶対なんだからーー!!」